反資本主義・生活デザイン課

やりがいのない仕事を逃れ、芸術的に生きるための知と実践。

ごみ"0"スーパー、斗々屋に行ってきたよ!①

 こんにちは、反資本主義・生活デザイン課の風見好日(カザミ コウジツ)です。先日、全品量り売りでフードロスやごみの大量発生の対策をしている食品スーパー、斗々屋さんに行ってみました。

 全ての食品が個包装されておらず、ビンやサーバーに直接詰められているので、それらを好きなだけ取って、重量に応じて清算。自前の真空パックやタッパーに入れて持ち帰るシステムです。ものを買うたびにプラスチックのパッケージを捨てたりしなくてよいので、たいへん環境にやさしい! なにより家でゴミが発生しないので、スペースを圧迫しないし、作業量も減ります。食材の入った容器をそのままカバンから取り出してキッチンに置くだけです。

totoya-zerowaste.com

 

 斗々屋さんのすごいところは、野菜や卵はもちろん、僕が普段たべているシリアルやパスタといった乾物、それからジュースや醤油などの調味料といった液体物まで、全て量り売りされているところです。こういうエシカルさを売りにしているお店って品数が少ないイメージがあったのですが、とんでもない。僕が入った京都本店は、もう本当にひとつの食品スーパーとして、普段の食生活に必要な食材全てが手に入るくらいでした。

ちなみに店内カフェやお惣菜の販売もありましたよ。僕みたいに料理が苦手な人への救済措置もありがたいですね()

 

都内は国分寺や、新潟の妙高などなどにも店舗があるそうなので、お近くの方はぜひ覗いてみてください~

 

目次

 

 

きっかけ

 普段は朝、だいたいフルグラ*1を食べているのですが、そうするとかなりの頻度で大きいプラスチック袋がゴミになるんですよね。

「どうせ毎日食べるなら、同じ容器に中身だけ詰め替えられればいいのに、なんて無駄なことをしてるんだ...」

とあるとき気付きました。いつも買うものが決まっている以上、僕にとってはパッケージがどれだけ派手でも関係ありません。

そのパッケージを製造するために使われた資源やインク、それを廃棄して処分するのに使われるエネルギー、そしてなにより、そのパッケージのために僕が払っているお金って全部無駄ですよね。

だから、「メーカーから中身だけ取り寄せられたらそこらのお店よりずっと安価で売って小遣い稼ぎできるよな...」とさえ考えました()

 

そこで、量り売りです。

 

わざわざいらないパッケージを作って捨てる工程をすっ飛ばして食品が手に入るわけですから、これほど合理的なことはない。今回はそのお試しをしてみました。

 

利用の流れ

 初入店。右も左も分からない感じでとりあえず店内を見て回りました。(店内の様子はぜひ公式ホームページ↑をご覧ください!)すると気の利いた店員さんが声をかけてくれて、利用方法の解説をしてくれました。

  1. 商品を備え付けの計量カップに入れる
  2. 店内のはかり台に乗せる
  3. パネルを操作して商品ラベルを発行する
  4. 商品を持参した容器に詰め替えて、容器にラベルを貼る
  5. レジでお会計(LINEを使ってポイントも貯まります)

という感じです。(もっとちゃんと写真付きで解説したいところですが、お会計にこぎつくのに精いっぱいでお写真忘れてました...)

初戦レシート。

実食!

 最初はとりあえず普段ぼくが主食にしているパスタ(今回はペンネ)とグラノーラを購入してみました。

まずはグラノーラから。グルテンフリーの自家製だそうです。

斗々屋自家製グラノーラ。店内には3種くらいありました

まずなんといっても、ナッツや具の粒が大きい! いつもは牛乳で食べる派の僕も、まずはそのまま食べてみて、食感やボリュームの満足感に驚きました。

塩で味付けされたとき特有の甘みがとっても上品。

途中から牛乳を投下したところ、しばらく経っても全然フニャフニャにならないのが不思議でした。普段食べているフルグラはフレークが入っているからかな?

最後まで具材がしっかり固形のまま残るので、100gちょっとでもかな~り満腹感。一食はもっと少なくてよかったかも()

 

続いてペンネ。この色白なお肌が凛としてかっこいい。

ペンネ。こんな感じでラベルを容器に貼り付けます

身がもっちり厚くて美味しい! 8分ほど茹でて、せっかくなのでまずはそのままパクリ。廉価で手に入るペンネとは厚みと噛み応えが段違いでした。

その後は調味料やレタス、お肉などを合わせて美味しくいただきました。これはぜひ友達に振舞いたいおいしさでしたね。

 

高品質だけど、やっぱりすこし高い

 というわけで、初めて量り売りスーパーを利用してみたのですが、やっぱりどうしてもぬぐえないのは、「ちょっと高いなぁ...」ということ。

いつも僕が購入しているフルグラが100gあたり100円、パスタが100gあたり40円とすると、斗々屋さんのフルグラやペンネはおよそ4倍ほどのお値段がすることがわかります。

 もちろん、そのお値段に見合った美味しさなので、ちょっと贅沢をしたり、友達と一緒に食べたりする分にはもってこいなのですが、普段の食生活を構築するには少しハードルが高そうです...。

高さの理由は?

 当初は、量り売りを選ぶことで食費が浮くことを想定していたのですが、むしろ高くなってしまいました。その理由はなんでしょう。実際に調べてみないと確定はできないのですが、いくつか想像することができます。

  • 有機栽培やグルテンフリー*2にこだわる*3ことで、原価が上がっている
  • 手作りにこだわることで、工場大量生産に比べコストが上がっている
  • 賛同生産者が「高くて美味しい」層に偏っている
  • トレーサビリティ*4の確保にかかる人件費が高い

このうち、前者3つは斗々屋さんの経営方針の問題というか、やりようによってはどうにかなりそうなものなのですが、最後の1つは少し厄介そうです。

 まず、私、風見好日は、無農薬や有機栽培、グルテンフリーにこだわっているわけではありません。反資本主義・生活デザインは、大量生産・大量消費の企業競争に揉まれる市場から脱却することで、貧困を脱し、結果的に健康や環境保全につながるものであって、健康や環境保全を第一目的とするものではありません。手づくりは生産者と消費者の意識を高めるうえで大事なのですが、まずは豊かな生活を確保することが大切です。

 また、店内には各食品の棚に生産者を紹介するカードが添えられているのですが、パッと見た感じ、どちらの生産者もいかにも「職人の高貴な技」といった雰囲気で、「いいとこのお店」みたいな香りがしました。(今度もっとしっかり見てみます。)ごみゼロに協力する限り、生産者もそれなりの意識の高さと丁寧なお仕事が必須になるわけで、そうすると自然とそういった層と結びつきやすくなります。これは、コーヒーなどの嗜好品ならばよいのですが、毎日の食事にするには少しお財布が...。

 そして、斗々屋さんが大切にしているであろうトレーサビリティの確保。各生産者や各従業員がちゃんとゴミを出さないような仕事をしているかのチェック。これにかかる人件費はありそうです。反資本主義・生活デザインのための量り売りにとっては、ここが課題となりそうです。

 

安くてエシカルな生活をめざして

 そもそもの話をすれば、近代以前の社会や農村の社会では、食品の生産から消費まで、無駄なゴミが出ず、また生産者と消費者が直接顔の見える関係にあること、ぜんぶ手作りであることは当たり前すぎるほど当たり前のことでした。これが当たり前ではなくなってしまった近代以降の社会において、どうやってエシカルな生活を取り戻すかが問題になります。

 エシカルさを売りにするお店やサービスは、当然、その「エシカルさ」に価値をつけなければなりません。かつてはエシカルなのは当たり前のことでしたが、エシカルじゃない企業が溢れる現代の市場では、エシカルであることが付加価値になり、ブランド、ファッションになり、そのぶん高い値段で売れることになります。「ウチはエシカルだよ~」とアピールすればするほど高くなってしまう構造があるでしょう。そうしなければ、エシカルなお店もこの安売り市場の中で自分の身を守れないからです。

 

しかし、抜け道が無いなんてことはありません。環境にも健康にもいい反資本主義的生活は、決してお金持ちや貴族の趣味ではなく、むしろ庶民のためにあるものです。このことはまたいずれ記事にします。

 市場のルールに従う限りジレンマに陥ってしまうならば、市場のルールを破ってしまえばいいだけの話なのです。市場なんてもともと町のただの一角に過ぎないのですから。炊き出しボランティアや子ども食堂、余ったパンの各戸配布といった取り組みが日本にはあります。そして最も身近なルール破りは、友達にお菓子を少し分けてあげちゃうことです。

 

 どうすれば庶民的な反資本主義的生活を構築できるでしょうか。まだまだ探っていきましょう。

 

*1:カルビーは具が硬くて食べづらい。日清は甘みが強いのと、あと割高。最近はケロッグの朝摘みイチゴをよく買ってます。

*2:小麦粉と水から生じるグルテンが含まれていないこと。グルテンが原因で倦怠感や肌荒れなどの症状を持つ人は案外多いらしい。

*3:とはいえ、斗々屋さんは厳しい農薬基準を設けているわけではありません。そうするとむしろ、無農薬でも経営し続けられるごく一部の裕福な農家に門戸が狭まってしまうからです。公式ホームページから閲覧できるパンフレット『生産者のみなさまへ』参照。

*4:生産者、配送業者、卸売業者、消費者までの一連の流れや、その中でどのような仕事がされているかがそれぞれの人々にとって目に見えるようにすること