反資本主義・生活デザイン課

やりがいのない仕事を逃れ、芸術的に生きるための知と実践。

それ、本当に国産ですか?

 

 こんにちは、反資本主義・生活デザイン課の風見好日(カザミ コウジツ)です。最近、キッチンで戦争を憂いています。

 

皆さんはしっかりと食品の産地を気遣っていますか?「食べられれれば何でもいい」と思っていたら、大間違いですよ。

 例えば、あなたの食べているものが、大企業の指揮下で、低賃金で、子供たちの過酷な労働によって生み出されているとしたら? 品質や収穫量を無理やり一定にキープするために、農薬や土地開発によって土壌・環境・景観・町村の文化を破壊し続けているとしたら? 労働者たちが過労によって心身を壊し続けているとしたら? そうやって大量生産された食品が、余ればすぐに廃棄されて、環境を汚染するだけでなく、貧しく物を食べられない人たちを無意味に見殺しにしているとしたら?

 私たちの日々の生活、たとえば《何をどのように食べるか?》ということも、一つのれっきとした倫理なのです。

 

そういう意味で、「トレーサビリティ」が大事なのです。つまり、自分の手元に届いている商品が、どこから生まれて、どのような経路でやってきたのかが分かるということ。私たち一人ひとりがチェックして判断しなければなりません。企業や政府に丸投げして安心できる世の中は残念ながらとっくに終わっており——企業が利潤追求を至上命題として好き放題にやること、それが資本主義です——、その結果、世界中で飢餓は拡大し、先進国ではどんどん食品が無駄に余るようになっています。

www.kinokuniya.co.jp

 

 

 

どうして国産が大事なのか?

 その観点から、とりわけ今の日本で重要なポイントの一つが、国産、あるいは地産地消。これがどうして、上のような倫理的課題と関係するのでしょうか。

  • 輸入品では、生産者-仲介業者-商社-輸送業者-小売業者という風に、間に挟まる業者が一気に増える。この状態で末端価格を一定にすれば、生産者の収入は極端に小さくなる。また、各業者や消費者と生産者の間のコミュニケーションが無くなり、生産者の苦労や問題が伝わらなくなる。
  • 一部の地域に集中して大量生産が求められた結果、アフリカの焼畑農業のように、土地の破壊やCO2、有害物質の問題が発生している。
  • 輸送距離が延びれば延びるほど、排気ガスに加え、保存のための薬品や冷房設備といった環境リスクが高まる。
  • 例えばニンジン一つとっても西洋ニンジンや金時人参があるように、食材は土地とその文化に紐づいている。どの土地の食材を選ぶか、はどの地域の文化を振興するか、ということと同じ。

 

単純に、国産のものや自分が住んでいる地域の食材を選べば、これだけ様々なリスクを避けることができるのです。

 もちろん、例えばコーヒーなど、輸出品を購入することで生産者たちを応援することに繋がる場合もあります。しかしそれも、完全に業者次第であって、劣悪な条件で買い取っている業者もあるでしょうし、大量生産を無理強いしている業者もあるでしょう。自分が購入している輸入品が、ちゃんと人を幸せにしているのか?人を泣かせてはいないか?は自分で調べて判断しなければなりません。

 

食料自給率38%の国、日本

 また、もっとよく知られている問題として、最近の値上がりの問題があるでしょう。例えば小麦。日本はこれをロシア等からの輸入にかなり頼ってきました。ロシア-ウクライナ戦争が長引く中で、近所のスーパーでも小麦製品が露骨に値上がりしたり、そもそも商品が消えたりしているのが分かります。(僕が気に入っていたシリアルが全く並ばなくなって悲しいです。)例えば日清のカップヌードルなんかはおもむろに値上がりしましたが、これは日清がアメリカのカーギルという商社を通じて小麦を仕入れていることとも関係しているでしょう。

 そもそも日本の食料自給率は38%。カナダ266%、オーストラリア200%、アメリカ132%、フランス125%という中で、圧倒的な低さを誇ります。つまり、日本は国産の食材で日本人を養っておらず、めちゃくちゃ外国からの輸入に頼っているということであり、日本の農業はかなり弱いということです。

www.maff.go.jp

 その結果の一つが、日本の農林漁業者の自殺率急上昇です。酪農家が話題に上っていますね。輸入に大きく依存していた飼料の価格が高騰し、牛乳販売による収入が激減、子牛も買い手がつかず大赤字という事態。政府はしゃもじ外交とか言って戦争に加担しながらミサイル買いまくってる場合ではなく、一刻も早い停戦と平和外交をやりつつ、国内産業の支援をしていくべきだと思うんですけどね。

www.jacom.or.jp

shanti-phula.net

 

 

「国産」と「国内製造」

 さて、日本の食料自給率を上げることの重要性を見たところで、早速スーパーで食材を買いに行きましょう。朝食用に食パンを買うとして、夜食や間食のためにうどんもあるといいですね。

 そこで成分表示を見てみましょう。実は2017年より、全ての加工食品について、原産地の表示が義務付けられるようになりました。なので、パッケージやその裏面の成分表示を注意深く読めば、自分が購入する商品がどこからやってきたものなのかを知ることができるのです(消費者庁パンフレット)。しかしこのとき、ややっこしいところがあるのでアドバイスを少し。

 

①まず、「小麦粉(国内製造)」と表記されていたら要注意です。鋭い方は気付かれるかもしれませんが、これは「小麦(国産)」とは意味が異なります。つまり、たとえ小麦が国産ではなく、アメリカ産であっても、それを加工して製粉した工場が国内であれば、「小麦粉(国内製造)」と表記されるわけです。

②次に、「小麦(国産)」であっても、これは必ずしも100%国産小麦からなっていることを意味しません。表示ルール上、成分のうち最も多く使われている原料の産地を書けばよいことになっているのです。従って、「小麦(国産)」と書いてあっても、成分の中にアメリカ産の小麦が入っている可能性は残ります。ただ、もしその場合はパッケージに「国産小麦100%」や単に「国産小麦」(パーセント表示なし)と表記することはできないらしいので、最終的にはこの点で判断できるかもしれません。もちろん、必ずしも100%にこだわらなければいけないということでもないのですが。

  • 「小麦(国産)」 → 国産小麦が100%、あるいは最も多く使われている
  • 「小麦粉(国内製造)」 → 国産小麦が使われているかは不明
  • パッケージに「国産小麦100%」 → 国産小麦100%

faq.pasconet.co.jp

 

 

ということで、資本主義システムが地球上の人々を理不尽の中に巻き込んでいく中で、自分が納得のできる生活を送るために、納得のできる食材を購入すること。そのときの参考にしてみてください。